建築学科ごっこ

せめて、建築学科生のふりはしていたいから

手描きで平面パースを描く方法

 

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イラストレーターや漫画家と違い、建築学科での手描きスケッチ・パースには図面という素材があります。

だから、バカ正直に白紙からスケッチやパースを書き起こさずとも、平面図を元にパースを描いたほうが、手軽に、楽に、正確に空間を表現できます。

 

 

 

なので、ぼくは基本的に建築学科のパースとは、平面図を用いた一点透視法パースがかければ、十分とまでは行かずとも最低限の目的は果たせると思っています。

少なくとも、複雑で狂いやすく作図に時間のかかる割に、建物の外観を一方向しか表せない二点透視パースよりはずっとかけるようになる価値があると思っています。(特に初心者は)

 

 

この記事で伝えたかったことは以上です。以下解説と言う名の蛇足。

 

 

 

 

 

 

 

  

STEP1:図面の作成

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まずは平面図を描きます。印刷、手描きどちらでもOKですが、躯体線以外は書き込まない、もしくは薄く描くようにしましょう。

みえがかり線や開口部、家具等は補助線程度にしましょう。

後々このパースをスキャンしてPhotoshopで加工する予定の人は補助線は水色で描くと便利です。

 

 

この図面を単品で教授に見せてもなにがなんだかわからない。

空間的にどこが開いていてどこが閉じているのか、どこから入りどこからの眺望が優れているのか等の情報が乏しく、話が広がりにくい。

 

特に決定的なのは高さ方向の情報がないため、全面ガラス張りなのか、腰まで壁の一般的な窓なのか、各部屋はどのくらい一体感があり、どのくらい分節されているのかがひと目でわかりにくいですよね。

 

そこで、このエスキスに30分~3時間程度筆を加え、情報量を増やすことにしましょう。 

 

 

 

STEP2:消失点を決め、消失線を書き加える。

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次に消失点を取ります。

普通のパースと違い、アイラインがないため消失点を取る位置は全くの自由です。

但し、どこにとっても間違いではないものの、より効果的な消失点の撮り方というのはあります。

  • 最も重要となる部屋の中に消失点をおく(そこに視線が集まる)
  • なるべく画面中心近くに消失点を取る。ただし、完全に中心に取るのではなく、少し上下左右にずらす。
  • 設計にグリッドがある場合、なるべくグリッドを無視した位置に取る。
  • 消失点に近いほど床が見えやすく、消失点から離れる程壁が見えやすくなる。

 

重要なのは、パース内の何を強調したいのか、そのためにはどこに消失点を取ればいいのかを考えながらパースを描くことです。

最初はうまく行きませんが、10枚20枚と書いている内に、どこに消失点を取ればより好い図面になるかが見えてくると思います。

 

消失点を設定したら、図面の壁や柱・開口部の頂点から線を降ろします。

消失線は必ずしも端から端まで書く必要はありません。

消失点附近では線が密集しやすく汚くなりがちなので、むしろ上の写真のように省略することをおすすめします。 

 

 

STEP3:壁の高さを決め、床を描き入れる。

遂に床を書き入れます。

STEP2で描き入れた消失線のうち、適当な一本を途中で切り、パースの深さを決めます。

 

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そのままぐるりと床の線を描き加えてゆきましょう

 

 

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消失点のときと同じく、床の高さ、パースの奥行きのとり方は任意です。

コツが有るとすれば

 

 

 


初心者はフラットでバリアフリーな空間で練習しよう!

 

  • 深めに床を取るほど壁を書き込みやすくなり、その分床の印象が薄らぐ。
  • なるべく消失点から遠い、画面端の部屋から床を決め、徐々に消失点附近の部屋を書き込むようにする。
  • 土間やスキップフロア、階段など床の高さに差がある建築は、高さの違う床毎に分けて描かなければならず、描くのがやや難しくなる。

 

初心者はフラットでバリアフリーな空間で練習するとうまくいくと思います。

 

 

 

STEP4:段差や階段、家具、みえがかり線を描き加える

ここから更に図面の密度を上げていきます。

次は階段をかきましょう。

階段のように高さに差があり描くのが難しいものは、まずはすっぽり入るであろう透明な箱を描き込みます。

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透明な箱にを参考に階段を描く補助線を引く。

 

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今回は時間があったので、少しだけ丁寧に書いてみました。

消失点の位置が悪く、階段の側面が全く見えない、奥にやや沈んでいるようなアングルになってしまいました。

 

 

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家具やみえがかり線も、まずはSTEP1の平面図上の補助線を参考に、STEP2のように線を消失点に降ろし、STEP3同様描き込みます。

 

その他キッチンや洗面台、トイレなども書き込みましょう。

ここまで約30分です。

 壁より低い高さのもの(椅子や机、棚やキッチン等)は描くのがやや面倒なので、時間がない場合は省略してもかまわないでしょう。

 

これだけでも、当初の立体感のない平面図よりグっと情報量がふえました。

 

 

 

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更に植物も描き加えると、かなり雰囲気が伝わりますね。

 

 

ここまで書き込めば、この図面がオンデザインパートナーズの“growing house”(神奈川県 鎌倉市)だということに気づいた方もいるのではないでしょうか?。

 

 

 

 

ちなみに、描画時間は添景ナシで30分程度、階段や添景も加えると3時間弱でした。

 

 

 

無論、模型やパースのほうが遥かに伝わる情報は大きいでしょう。

 

しかし、平面パースは技術の習得難易度×描画時間×情報の伝達ロスの掛け算で考えた場合、もっともコストが小さく済むプレゼンテーション手法です。

 

 

3DCGは技術の習得に時間がかかり、誰でも一朝一夕で身につく技法ではないが、一点透視法の手描きパースであれば、数枚も描けばコツが掴める。

 

二点透視法によるパースや詳細模型は作成に時間がかかり毎週のエスキス提出には不向きである。

 

さりとて、単なる平面図や断面図では情報としては正確でも伝わるまでに時間がかかり、話が弾むとも思えない。

 

このように建築学科での表現技法はメリットデメリットが在り、まさに一長一短です。 

 そんな中で、図面を元にパースを描くことは、こうした様々な表現の中間に位置する、小回りの聞くグラフィックだと考えます。

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これはとあるリノベーション課題のエスキスで提出した図面です。

こちらはcadで描いた図面を印刷し、その上に手描きで奥行きを与えたものです。

手描きに要した時間は30分強だったと思います。

 

 

平面パースのデメリット

もちろん平面パースにもデメリットはあります。

 

・人、家具、植栽などの添景を描き加えるのがかなり難しい

・建物全体の状況を伝えるのには向いているが、中に入ったときの主観的・等身大な印象を伝えることができない。

・図面が必要なので、具体的な平面図が全く決まっていない課題最初期には描くことができない。(リノベーション課題に最適!)

 

結びに変えて

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上記パースをアナログでペン入れし、スキャン後Photoshopで着彩。

 

 

▼このワンクリックが大きなモチベーションです。何卒。

 

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