建築学科ごっこ

せめて、建築学科のふりはしていたいから

質のいい作品が出来たからポートフォリオを作るのではなく、ポートフォリオを作るから作品の質が上がる

この記事を読むあなたが建築学科(もしくはそれに類する団体)に所属する以上、曲がりなりにも創作活動で活躍することを願うクリエイター志望だろう。

であるならば、自分の生み出してきた作品達の管理は義務を通り越して存在意義である。(少なくとも赤の他人にとって、クリエイターの存在価値はクリエイターの総作品価値とイコールである。)

 

間違っても課題終了の開放感に浮かれて、自分の作った作品を放置するような姿勢は取ってはならない。

 

 

というわけで今回はポートフォリオ(作品集)についてである。

テーマは過去の自分の作品をまとめるという行為が、果たしてどのような効果をもたらすのかである。

ポートフォリオの提出が求められる就活生や留学志望者だけでなく、1回生や2回生もぜひ目を通して欲しい。

 

 

 

 

なぜポートフォリオを作るのか?

 

  1. 他人に自分の能力を示すため
  2. 自分の実力やスキルや思考を把握するため
  3. 制作活動のモチベーションUP

 

1.他人に自分の能力を示すため

 

1はインターンや就職活動でポートフォリオを求められる主たる理由である。

そして、多くの学生がポートフォリオはこのためにのみあると考えている。

 

むろん、これはポートフォリオの大切な役割だ。

昨今「皆で沢山話し合ってどんどん建物を作りましょう」という時代から「熟達した個々の技能を集結し、縮小する社会においても必要とされる建築を探る」という時代へのパラダイムの変化は誰しも肌で感じているだろう。

もはや実力のない学生を採用して入社後ゆっくり育成するような体力は、どの企業にもない。

学生の実力を数分で大掴みできるポートフォリオの重要性は今後も上昇すると考えて良い。

 

 

また、ポートフォリオセルフブランディングのためにも重要である。

ポートフォリオを見せる相手はあなたを雇う上司や人事部の面接官だけではない。

あなたが建築家として独立した暁には、あなたのポートフォリオを見るのは、お金を出す顧客やクライアントである。

通信コストが大幅に削減された今、インターネットを通じて遠く離れた人間があなたの腕を見込んで仕事を申し込んでくることも稀ではない。

その場合、相手がまず手に入れるあなたの情報は、あなたがオンライン上に公開したポートフォリオである。

 

 

かつての芸術家がポートフォリオを作成した理由が、良質な師匠やパトロンを確保するため、あるいは自分が有する技術をアピールするためだったことから考えても、ポートフォリオの第一の意味はスキル・実績の証明である。

 

 

 

2.自分の実力やスキルや思考を把握するため

 一方他人へのアピールだけがポートフォリオの目的ではない。

ポートフォリオは「他人のため」に作るものであると同時に「自分のため」に作るものでもある。

 

せっかく一月近く、長いときにはそれ以上の期間をかけて作成した課題である。

場所を取る以上模型や図面を処分せざるをえないのは仕方ないが、その内容まで忘れ去ってしまうのはもったいないではないか。

 

ポートフォリオづくりは一度仕上げた作品をもう一度紐解き、反芻し、問題点を整理して次に活かすための重要なプロセスである。

 

「課題の反省なら毎回しているよ!」

という人も多いかもしれないが、人間半年以上前の課題が終わったときの悔しさや心残りを正確に再現できるものではない。

 

しかし、ポートフォリオという形で手元に残しておけば、そしてそれに定期的なブラッシュアップをかけていれば、その反省はいつまでも生きた経験となって次の課題に活かすことが出来る

 

 

ポートフォリオづくりで磨かれるのは建築のスキルだけではない。テキストやグラフィックによる表現能力も同時に磨かかれる。

 

本ブログで繰り返し述べていることだが、人間成果物という形でアウトプットしない限りは絶対に成長しない

故に自分の考え稚拙でもいいから形にし、発表する機会を作り続ける必要がある。

月に一度の学校の課題だけでは到底足りないのだ。

 

模型・写真撮影・レイアウト・グラフィック・3DCGによるパース表現、磨きたい表現技法は無数にある。

ポートフォリオづくりは、いわば自分のスキルや思考の棚卸しの役割を果たす。

作ることで学び、眺めることで学び、作り直すことで更に学べるのだ。

 

また、極めて馬鹿馬鹿しいが、自慢の作品をまとめたポートフォリオをめくりながら飲む酒は実に旨い

もし友人と互いに作った作品集を見せ合いながら杯を交わせたならどれほど幸せな大学生活だろう。*1

 上回生になって慌てて作り出していては、貴重な成長のチャンスをいくつもムダにしているのである。

 

 

 3.制作活動のモチベーションUP

 さらに言えば、これが3つめの理由だが、ポートフォリオ作りが結果的に課題制作のモチベーションにもなる。

 

当たり前だが、一度きりの課題講評会のために作る設計作品と、少なくとも数年にわたって自分の本棚の一角を担うポートフォリオを意識した設計作品では、企画から模型製作に至るまで意識が全く変わってくる。

課題の最中も常に頭の片隅にはポートフォリオにどのように掲載されるかという意識が芽生えることになる。

 

 

その意識が、間接的に今あなたが取り組んでいる最中の課題を後押しすることに繋がるのだ。

 

長い建築学科生活、時には建築に対する意欲が枯渇し、どうにもやる気が沸き起こらない日も出てくるだろう。

 

それが課題提出1週間前だとますます悲惨である。

 

そういうときにもあなたのポートフォリオはあなたを救ってくれる。

 

過去の作品があなたのこれまでの能力を保証してくれる。

未来の作品があなたのこれからの努力を激励してくれる。

 

ポートフォリオづくりは、過去の作品の品質向上のみにとどまらない。

 

未来のポートフォリオ作成が現在に遡って今の作品の完成度を飛躍的に向上させるのである。

 

 

 

 

ポートフォリオ作成に早すぎるということはない。

すでに1作品でも作っているのであれば、(たとえ建築でなくとも)一刻も早くポートフォリオ作成に踏み切るべきだ。

 

前述のとおり、作品集の編纂は非常に労力がかかる。

いつでも気軽に作れる代物ではない。

 

 

チャンスとなる作成タイミングは3つ。

 

一つは課題終了直後、次の課題が始まるまでに仕上げしまうパターン。

 

次に夏休みなどの長期休暇に仕上げてしまうパターンである。

 

そして3つめ。今すぐである。

明日取り掛かったのでは遅いだろう。

そして就活前では遅すぎる。

賢者はすでに昨日作り終えているのだから。 

 

 

 

あなたの素敵な作品集を放漫なる僕にもぜひ見せて欲しい。

 

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*1:本ブログではポートフォリオ作成に関する記事は予定しているが、友人の作り方は管轄外である。

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