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【建築模型】カッターの使い方を復習する【なぜ30°の黒刃が使われるのか】

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「丁寧に作ろう」といくら念じても丁寧には作れないのは、建築に限らず創作活動の常です。

ですから、模型を丁寧に作るためには「丁寧に作ろう!」とがんばって意識しながら作るのではなく、特に意識しなくても勝手に丁寧に仕上るための工夫を積み重ねるより他にありません。
 

というわけで、模型作りの要であるカッターナイフの扱い方のまとめです。 

 (カッター以外に関してはまたいつか)

 

 

 

 

トピックハイライト

 

 

 

 

 

 

  1. 道具一覧:まずは道具を揃えよ

    小学校の工作と建築学科の模型作りは少し勝手が違う。

    まず必要なのは正しい道具の調達である。

    もちろんただいい道具をむやみに揃えればいいということではない。

    どの道具にはどのような特性があり、何のためにその道具を揃えるのかという明白な理由と目的意識が必要である。

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    まず必要なのはカッターナイフである。
    どのようなカッターを使ってもいいが、建築学科では上記の二種が特に愛用されている。
    スラリとした細身のデザイン、質実剛健なステンレスのボディ、それでいてしっくり手に馴染み長時間の作業でもストレスフリーに扱える機能性、そして刃の向きを変えて装填するだけで左利きにも対応する点などが幅広く支持を受けている理由だろう。

    分厚いダンボール等を切るよりは、紙やスチレンボードの細かい作業に特化している。

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    次に必要なのはカッターの刃である。
    カッターの刃にも種類があり、建築学科では30°の黒刃がもっともよく使われている。(違いや理由は後述)

    カッターの刃に関してもっとも重要なのはとにかく頻繁に刃を折ることである。
    建築学科に入学するまでは、カッターの刃を折ることはちょっとしたイベントだった人もいるかもしれないが、建築学科では日常生活の一部である。

    例えば、上記の黒刃は業務用の100枚入りだが、通常の建築学科生ならこれを使い切るのに2~3年程度かかると思う。
    が、これでは少し遅すぎるくらいである。
    (あまりゆっくり使っていると、刃を保護する保護紙がぼろぼろになり、未使用の刃の切れ味が落ちてくる)

    プロの現場なら(複数名で利用する事もあって)半年と持たず使い切るケースもあるだろう。


    とにかく、カッターの刃は消耗品である。
    二、三度切っては折る、二、三度切っては折るくらいの頻度で刃先を交換するくらいでちょうどいい。



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    カッターマットは単なる机を傷つけないためのカバーではない
    きちんとしたカッターマットは高価ではあるが、その値段に見合う理由がある。


    カッターマットが必要な第一の理由はカッター自身やあなたの手を守るためである。
    良質なカッターマットはカッターの刃先の滑りを良くするため、カッターの消耗を低減させるとともに、手首や指先にかかる負担を和らげる。


    また、スムーズに切れるということは当然切られる模型材料側への負荷も軽く出来るということである。
    カッターマット第二の目的は、切断面に余計な力がかからずなめらかで美しい小口になる点が挙げられる。


    そして何より、古雑誌や古雑誌の上はもちろん、製図台やベニヤ板などの材料の上で材料を切り続けると、カッターマット代わりにしている土台がぼろぼろになり表面に凹凸ができてしまう。
    傷だらけの板の上でカッターを引いてまっすぐに切れるわけがない。

    塩化ビニル製のカッターマットなら通常の使い方をしていればほとんど表面に傷が出来ないため、集中力を失わず作業を続けることが出来る。
    これが良質なカッターマットが必須な最後の理由である。

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    定規も小学校の頃のプラスチック製やアルミ製では不十分である。
    というのもこれら定規は目盛りの間隔が正確でなかったり、強度が低く定規自体がカッターによって削れてしまったりするからである。

    模型作りでは主にシンワ測定やコクヨの直定規が使われている。
    切る模型材料の大きさに合わせて15cm、30cm、60cm、1mの定規を使い分ける。
    最初は小さいサイズの定規から、上回生に進むに連れて大きな定規を買うといいだろう。
    場合によっては卒業設計やゼミなどを通じて先輩からもらえるかもしれない。


    その他、折った刃を保管するケースやスコヤなどが挙げられる。
    何れにせよ、建築学科の模型道具は皆が同じものを持っているので紛失、取り違え、盗難が起こりやすい。

    必ず名前を書いておくこと。
    (マスキングテープや名前シールを貼るだけはやめたほうがいい。シールの僅かな段差が模型製作の邪魔になるし、剥がれれば見分けがつかなくなる。)




  2. 刃の種類:なぜ30度の黒刃が利用されるのか?

    前述の通り、建築模型では30度の黒刃がよく利用される。
    もっとも、どのくらいの建築学科生がその理由や刃の違いを知ってて使い分けているだろうか。

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    黒刃は白刃より鋭く研がれており、切り始めの切れ味が白刃と比べて非常に良いが、反面刃毀れしやすく耐久性が低い。
    つまり黒刃はカッターの中でも特に頻繁に刃先を折ることを前提に作られているので、黒刃を使っておきながら、刃をケチるのは本末転倒である。
    ちなみに材質自体は黒も白も同じなので、両者の値段はほぼ同じである。


    一方30度でも60度でも切れ味に差はない。
    ただ30度の方が細かい作業や曲線に適しているだけである。
    直線の材を切るだけなら家具模型や開口部でもない限り、60度でも問題ない。

    ただ、30度刃のほうが価格が倍ほど違うので、用途によって使い分けたほうが良い

    プラ板やスタイロをカッターで切る時のために、白刃60度も用意しておくと良いだろう。


  3. 切る時の姿勢:視線・姿勢・切断方向は一直線に

    姿勢は正しく。基本である。

    背筋を伸ばして頭と机は適度に離す。体に対してカッターを手前に垂直に引いて切る。けして横方向に切ったり、体をねじって切ったりせず、材料を回転させる。中には横着して体と腕を捻じ曲げ無理な体勢で切断しているものがいるが、まさに模型に踊らされている

    ところで、カッターマットにはよく方眼紙のようなマス目が印刷されている。(当然だが、このマス目の寸法を元に材料を切り出さないこと。)
    このマス目に対して斜めに体や素材を傾けて切ると、目の錯覚で部材がゆがんで見える。

    要するに、体、視線、カッターマット、切断方向、カッターの刃はすべて一直線上を意識することだ。


    ただし、これを実現するためには机の上、及び机周りの整理整頓、正しい高さの椅子と机が必須である。
      

     

  4. 材料の切り方:材料を一度に切ろうとしない

     スチレンボードは意外に固い。気泡が入っているため指で触ると柔らかく感じるが、中の素材はポリスチレンであり、紙以上にカッターの歯を大きく消耗する。

    おまけにスチレンボードはそのポリスチレンを上質紙で挟み込んだ積層構造である。
    表面にダンボールや布を貼り付けた木材をのこぎりで切ったらどうなるか想像すれば、異なる素材が複合した材料を一度に切ることの強引さに気づくだろう。

    スチレンボードに限らず、模型材料は最低でも3回に分けて切る。
    まずは一番上の上質紙のみを切る。(料理人がトマトに切込みを入れるように、あるいは外科手術においてメスで皮膚を切り裂くように
    次に中のポリスチレン部分のみ切る。
    5mm以上のボードを切る場合、この工程をさらに2回に分ける。
    最後に残った1枚の上質紙を切る。

    以上3STEPが材料を切り出す基本である。

    より丁寧にスチレンボードを切る場合、ボードの表裏両面から半分ずつ刃をいれて切る。
    特に開口部をくり抜く場合、なんども部材を回したり裏返したりして丁寧に4つの入り隅を切らないとシャープな開口にならない。

    作業中手が痛くなるという人は多いだろう。
    カッターがあなたの手にマッチしていないか、無理な姿勢で作業しているか、そして不要な力を込めて一度で切ろうとしているかのいずれかである。
    力を込めず何回も切込みを繰り返し入れる方が、長期的に見れば楽に早く綺麗に作ることが出来る。





    材料は一度に切ってはいけない。

    繰り返す。
    材料は一度に切ってはいけない。



  5. 刃のグラつき:定規を当ててるのに断面が歪む理由

    刃物というものは切断中に刃先がぐらつくと極端に切れ味が落ちる。

    カッターを持つ手は材料から浮かさず、手の側面を机に付けてふらつかないようにする。


    刃を出し過ぎないことも重要である。
    正しい持ち方をしていても、一センチ以上刃を出すと刃先がふらついてまともに切れなくなる
    中には3センチ以上刃先を出して使っている人がいるが、材料を切り出しているのは切っ先の数ミリなのだから意味が無い。


    カッターの刃先をホールドする部分の遊びをペンチで締めてぐらつかないように処理しておくと更に精度があがる。

    ただし、やり過ぎると刃の出し入れのときに刃を炒めてしまう。

     

  6. 切り出す順番:卓上で部品の迷子を防ぐには

    模型製作中、材料は以下の4つの状態となる。
    即ち、購入時のままの綺麗な「材料」、材料から切り出されたパーツとなる「部材」、材料から部材を切り取ったあとに残る「端材」、端材の中でも特に小さく、使いみちがない「ゴミ」の4つである。

    これらの卓上での置き場所を決めてから作業を始める
    こと。
    これらが混同させたまま模型を作ると、往々にして作った部品を誤って捨ててしまったり、小さい部材を切り出すためにゴミの山の中から必要な面積を確保できる端材を探さねばならず、時間の無駄を生む。

    材料は机の脇に大きさ別に立てて保管する。
    端材の内使えそうなものは材料の横に保管しゴミはなるべくすぐに処分する。
    模型に使用する部材は専用の箱を設けてその中に入れる。



    建築学科なら誰しも経験することであろうが、材料からパーツを切り抜くとき、無計画に思いつくまま切り出してもろくな事にならない。
    賢者は大きい部材から順に切り出す
    これは余分に材料を消費せずに済むという理由の他に、小さい部材を切り出した後からだと、大きい部材を切り出すには作業スペースが不足するという理由もある。

    また、切り出す端部に対して材料が大きすぎる場合は、小さいサイズに分けてから切ること。
    A1サイズのスチレンボードから20mm四方の材を切り出そうと試みる者がいるが、精密に切り出せるとは思えない。
     

  7. 安全性:君とは一緒に作業したくない

    上記5つのコツは、実行しなくても自分の模型が汚くなるだけだが、安全に関するカッターの取り扱いは他人に迷惑をかけるので最優先事項である。



    ○刃の通り道に指がないことを確認してから切り出すこと。特に定規を抑える左手の親指は最も怪我しやすい


    折れた刃はすぐに「刃入れ」に入れる
    そのまま机の上に放置しておいたがために、スチレンボードの端材と一緒に気付かずに手で集め、指を切った友人がいる。
    製図台の手前には製図道具をおいておく雨樋のような受け皿が付いていることが多いが、ここに折ったカッターの刃が散乱している奴は何をやってもダメである。


    カッターの刃は作業中であろうともこまめに納めること。

    カッターの刃を出していいのはあなたの利き手にもっている時だけである。
    出しっぱなしのカッターを一瞬たりとも卓上においてはいけない。
    「気をつけているから大丈夫」などという妄言を吐いている人がいたら製図室から追い出したほうがいい。
    刃を出したままのカッターを持ったまま立ち歩いている奴は万死に値する

    材料切断後、刃を出しっぱなしにしたまま机の上に放置し、はずみで足の上に落とした友人がいる。分厚い革靴だったので事なきを得た。サンダルだとどうだっただろう。



    学生にかぎらず、カッターナイフとその刃、あるいは折ったあとの刃に対する意識の低い人が一定数いるが、あまりそういう人の隣で作業をしたくないものである。



 

 

追記 :みなさんの持つ建築模型工作術があればぜひ教えて下さい。

 

 


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